「歴史を学ぶ」 歴史総合と歴史教育
高校での歴史教育が「歴史総合」として再編された背景には、近現代のグローバルな視点を持ち、総合的な知見に基づいて、世界と社会の実践者を育てるという目的があります。
この新しい学びの枠組みの中で、「歴史実践の六層構造」は、単なる知識の習得にとどまらず、歴史を通じた思考力や判断力、実践力を養うための有効な指針となるでしょう。
歴史総合と歴史実践の六層構造の関係
1. 歴史実証(A)→ 事実の探求
• 近現代の史料を批判的に分析し、歴史的事実を確認・復元する力を養う。
• 例:「第一次世界大戦の原因を探る」「近代日本の産業革命の実態を史料から読み取る」
2. 歴史解釈(B)→ 連関・構造の探求
• 歴史上の出来事を因果関係や構造的視点で考察し、仮説を立てる。
• 例:「植民地支配が現代の国際関係に与えた影響」「冷戦の終結とグローバル化の関係」
3. 歴史批評(C)→ 意味の探求
• 歴史の意義を広い時間軸と空間軸で検証し、現代とのつながりを考える。
• 例:「フランス革命の『自由・平等』の理念は現代にどう受け継がれたか?」
4. 歴史叙述(D)→ 表現の探求
• 学んだ歴史を論理的かつ効果的に表現する力を養う。
• 例:「歴史エッセイの作成」「歴史のプレゼンテーションやディスカッション」
5. 歴史対話(E)→ 検証の探求
• 異なる視点を持つ人々と協働しながら、歴史理解の多様性を学ぶ。
• 例:「戦争責任をどう考えるか?各国の視点を比較する」
6. 歴史創造(F)→ 行為の探求
• 歴史を学ぶことが、自らの行動や社会への関わり方に影響を与える。
• 例:「歴史を活かした社会課題へのアプローチ」「歴史をもとに未来の社会を考える」
教育実践の発展への期待
このような体系的な歴史実践が、教育現場で多様な方法で展開されることが期待されます。例えば:
• アクティブ・ラーニング型授業(史料分析・ディベート・プロジェクト学習)
• デジタル技術を活用した歴史教育(オンライン史料・VR体験)
• 地域史や国際史を取り入れた学習(地元の歴史調査・国際交流プログラム)
• 生徒自身が歴史を発信する活動(歴史ブログ・動画制作)
歴史総合を通じて、単なる暗記ではなく、歴史を学び、対話し、創造的に未来を考える力を育むことが、これからの教育の大きな目標となるでしょう。
歴史学習について
歴史総合の説明原稿.pdf参考図書、小川幸司、成田龍一 編 歴史総合を学ぶ 岩波新書 2022-3
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