2025年6月アーカイブ

ヨーロッパ史の捉え方、

 統合の基層

 ヨーロッパ史の思想的変遷の整理

 

増田四郎

ヨーロッパの思想や制度を熱心に受け入れることにより,驚異的ともいえる近代化を達成してきた日本.それでいて,ヨーロッパとは何かについて,真に学問的な深さで洞察し,議論した書物は意外に少ない.本書は,ヨーロッパの社会とその精神の成り立ちを明らかにし,その本質的性格に迫ろうとする「ヨーロッパ学入門」

アンリ・ピレンヌ

「地中海世界」の没落と「ヨーロッパ世界」の誕生、その背後で決定的役割を果たしたイスラムへの着眼ーー。

歴史家が晩年の20年に全情熱を傾けたテーマ。

全ヨーロッパ的視野で、中世の都市および商工業のあり方に重点をおく社会経済史を中心に研究。邦訳に『中世都市:社会経済史的試論』(講談社学術文庫)など。

ピレンヌの集大成にして、世界的に参照され続けている古典的名著、待望の文庫化!

序文 
第1部 イスラム侵入以前の西ヨーロッパ
1
.ゲルマン民族侵入後の西方世界における地中海文明の存続
2
.ゲルマン民族侵入後の経済的社会的状況と地中海交通
3
.ゲルマン民族侵入後の精神生活
結論 

第2部 イスラムとカロリング王朝
1
.地中海におけるイスラムの伸展
2
.カロリング家のクーデターとローマ教皇の同家への接近
3
.中世の閉幕
結論


フェルナン・ブローデル 

例えば

1789年 フランス革命

1937年 日中戦争

など。

でも本当の歴史はいろんな要素が複雑に絡み合って、その結果として事件などが起こる。

そこでブローデルは、本当の歴史は事件や戦争に焦点を当てても理解できないと思い、その背景にある経済や文化などに焦点を当てた。

この視点の変化により「なぜ」歴史はそう動いたのか、という流れが理解されるようになった。

この「なぜ」というのを理解するためには心理学、経済学、社会学、地政学、政治学など色々な学問に精通しておく必要がある。

一つの見方ではなく、色々な学問を使った総合的で多角的な歴史アプローチを発明したのがブローデルである。

これにより、初めて歴史が時間的にも空間的(グローバル的)にも繋がるように認識されだした。

それ一個だけで生じている歴史的事件などは一個もなく、全ての出来事が時間的にも空間的にも関係しあっているのだ。

つまり、ヨーロッパで起きたルネサンスが資本主義になり、日本の明治維新に繋がっており、第二次世界大戦にも繋がっているのだ。

 二十世紀を代表する歴史学の大家が、代表作『物質文明・経済・資本主義』における歴史観を簡潔・明瞭に語り、歴史としての資本主義を独創的に意味付ける、アナール派歴史学の比類なき入門書。時間軸を輪切りにし、人間の歩みを生き生きと描き出す、ブローデル歴史学の神髄。

第1章 物質生活と経済生活の再考(歴史の深層;物質生活;経済生活―市と大市と取引所;市、大市、取引所の歴史―ヨーロッパ世界と非ヨーロッパ世界)

第2章 市場経済と資本主義(市場経済;資本主義という用語;資本主義の発展;資本主義の発展の社会的条件―国家、宗教、階層)

第3章 世界時間(世界=経済;世界=経済の歴史―都市国家;世界=経済の歴史―国民市場;産業革命)

 

イマニュエル・ウォーラーステイン

 イマニュエル・ウォーラーステインの世界システム論は、世界を中核・半周辺・周辺の3層構造で捉え、世界経済を一つのシステムとして分析する理論です。16世紀以降の世界資本主義体制の生成と発展を分析し、国家間関係や経済的な支配・従属関係などの構造と変動を明らかにしようとします。

詳細:

  • 3層構造:
    世界を中核、半周辺、周辺の3層に分け、それぞれの役割と相互関係を分析します。
    • 中核:資本主義の中心地で、技術や経済的優位性を持つ国々が属します。
    • 半周辺:中核と周辺の間にある国々で、中核からの資本投入を受けつつ、自らも資本を蓄積していく過程にあります。
    • 周辺:中核からの搾取を受け、資源や労働力を提供する国々が属します。
  • 世界資本主義体制:
    世界全体を資本主義体制という一つのシステムとして捉え、その歴史的過程を分析します。
  • 長期持続:
    世界システムを単なる国家の集まりではなく、長期的な歴史的プロセスとして捉える視点を取り入れます。
  • 批判:
    ウォーラーステインは、伝統的な社会科学の分断や冷戦的な二分法を批判し、世界を一つのシステムとして捉えることを主張しました。
  • 影響:
    世界システム論は、国際関係論、経済学、歴史学など、様々な分野に影響を与えてきました。

近代世界システムの3要素は

ウォーラーステインの基幹となる枠組みもまたブローデルに触発されたものでした。 「世界システム」の三層構造がそれです。 ウォーラーステインはこのシステムの包括する地域を、

1)中核=自由な賃金労働、

2)半辺境=分益小作制、

3)辺境=強制労働と、労働の管理様式によって分類するのです。

 ヨーロッパ史 拡大と統合の力学 大月康弘 著 (岩波新書 新赤版 2003)

『ヨーロッパ史 拡大と統合の力学』の「おわりに - 統合基層」では、ヨーロッパの歴史における統合の過程とその基盤について説明されています。以下にポイントをまとめます。

1. 統合の重要性ヨーロッパは歴史的に多様な文化や国家が共存してきましたが、統合は平和と安定をもたらすために不可欠です。

2. 多様性と共通性各国の文化や歴史の違いを尊重しつつ、共通の価値観や目標を見出すことが統合の基盤となります。

3. 経済的統合経済的な結びつきが強まることで、国家間の対立を減少させ、相互依存を促進します。

4. 政治的統合: EUのような地域統合の枠組みが、政治的な協力を促し、共同の課題に対処するための基盤を提供しています。

5. 未来への展望統合のプロセスは今も進行中であり、さらなる協力や連携が求められています。歴史を踏まえた上での柔軟な対応が重要です。

このように、「おわりに」では、ヨーロッパの統合がどのように進められてきたか、またその基盤となる要素について考察されています.


『ヨーロッパ史 拡大と統合の力学』の第5章「歴史から現代を見る」について、各項目を簡単にまとめます。

一、国家と社会をどう捉えるか

このセクションでは、国家と社会の関係性について考察されています。国家は単なる政治的な枠組みではなく、社会の構成要素や文化、経済との相互作用によって形成されると論じられています。国家の概念は歴史的に変遷し、その背景には社会の変化や市民意識の高まりがあります。

二、<自由な個人>はどこからきたのか

「近代化」論と都市に焦点を当て、自由な個人の概念がどのように形成されたかを探ります。近代化の過程で、都市は経済的、社会的な活動の中心となり、市民の自由や権利の意識が高まりました。この背景には、商業の発展や市民社会の形成が影響しており、個人の自由が重視されるようになりました。

三、西ヨーロッパ近代社会の淵源

中世都市と「海」をテーマに、西ヨーロッパの近代社会がどのように成立したかを考察します。中世の都市は貿易や商業の拠点として発展し、海洋貿易の拡大が経済的な基盤を形成しました。このような都市の発展が、近代社会の基礎を築く要因となり、社会構造や人々の生活様式に大きな影響を与えました。

以上のように、第5章では国家と社会、個人の自由、近代社会の形成に関する重要なテーマが取り上げられています。

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